上下の移動がない平屋は動線がシンプルで、2階建ての住宅と比べると家事や身支度をスムーズに進められるのが特長です。
たとえば、2階のベランダに洗濯物を干している人は、取り込んだ洗濯物を畳んで各部屋に持っていくまでの間に、少なくとも2～3回は階段の上り下りをしているのではないでしょうか？
その点、階段がない平屋なら横移動だけで一連の動作を終えられるので、家事における移動の負担を大きく軽減できます。

さらに効率を意識するのなら、家の中をぐるっと回るように移動できる『回遊動線』を取り入れるのがおすすめです。ファミリークローゼットやランドリールームを通って「玄関とリビング」「リビングとプライベートルーム」という具合に部屋間を行き来できるようにすれば、家事だけではなく身支度の効率もUPします。

共働き家庭が増え、家づくりにおいて家事効率を優先する方が増えたのも、全国的な平屋ブームが巻き起こった理由のひとつと言えるのかもしれません。

2階部分のない平屋は風の抵抗を受ける面積が少なく、重心も低いため、耐風性に優れています。台風の影響を受けやすい沖縄に平屋が多いのも、強風対策が主な理由だといわれていますよね。

沖縄ほどではないものの、宮崎県は偏西風の影響で台風の通り道になることが多く、本土の中では台風の上陸数が多い地域でもあります。台風時の災害リスクを考えて平屋を選択する方も、少なくないのではないでしょうか。

2016年（平成28年）に隣県で発生した熊本地震。熊本県内では全壊8,369棟、半壊32,478棟という大きな住宅被害をもたらしましたが、当時は宮崎県内でも震度5強の強い揺れを観測し、少なからぬ影響を受けました。
重心が低く建物重量の軽い平屋は2階建てに比べて耐震性を高めやすいという点も、平屋人気の理由のひとつかもしれません。

平屋には階段がないので、住宅をバリアフリー化しやすいという利点もあります。
お子さまが小さいうちも、自分たちが高齢になってからも、安全に暮らせる家。これはやはり、住まいとして大きな魅力です。家の中の段差をなくすとともに、廊下や開口に車いすが通れるだけの幅を確保しておけば、大がかりなバリアフリーリフォームをすることなく自宅で老後を迎えられそうですね。
2階建ての家にお住いの方は、足腰が弱まり階段の上り下りがつらくなると、1階だけで暮らせるようにリフォームする方もいらっしゃいます。その点、平屋ならライフステージが変わっても空間に無駄が生まれず、人の立ち入らない2階だけが老朽化していくという心配もありません。

平屋に憧れを抱く人が増えているとはいっても、平屋率が50％を超えるのは宮崎県以外は鹿児島県（59％）と沖縄県（50％）のみ。全国的には、まだまだ2階建ての家が主流です。
参考元：国土交通省『令和５年住宅・土地統計調査』

今後、全国的にも平屋が増えていく可能性はあるものの、まだまだ平屋率の低い県が大半なのは、おそらく「平屋を建てられるだけの広さがある土地を購入するのが難しい」というのもあるでしょう。コンパクトな平屋なら50坪前後の土地にも建てられますが、採光やプライバシー面を考えて泣く泣く断念したという方も少なくないはずです。

そんな中、宮崎県の平屋率が高いのは“土地の価格”も関係しているようです。
2024年（令和6年）時点で、宮崎市の地価公示平均価格は48,381円/㎡（159,937円/坪）。熊本駅のある熊本市西区の地価公示平均価格が65,864円/㎡（217,733円/坪）、鹿児島市の地価公示平均価格が93,593円/㎡（309,399円/坪）であることを考えると、宮崎市の土地価格が近県と比べてもかなり低いことがわかります。
さらに、売り出されている土地も60坪を超えるものが多く、宮崎県の“広い土地を安価に購入できる環境”が平屋率の高さに関係していると考えられます。

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こうして見ていくと、宮崎県の平屋率が高いのは「台風や地震などの自然災害から、大切な家と家族を守りたい」という高い防災意識がもたらした部分が大きいと言えそうです。

だからといって、平屋が万能なわけではありません。平屋には大雨や豪雨で床下・床上浸水が起こったときの避難場所がなく、居住スペース全体が浸水してしまうリスクを秘めています。
宮崎市はとくに県内でも河川が多い地域なので、平屋を建てる前提で土地探しをするのならハザードマップの確認が欠かせません。ご家族の安全のためにも、できるだけ浸水リスクが低い土地を選びましょう。

参考記事：ハザードマップで見る、宮崎市の水害リスクや地盤が強い土地・弱い土地は？注文住宅を建てる際の土地選びのポイント

平屋にはシンプルな動線やバリアフリー化のしやすさなど、とても多くのメリットがあります。加えて、自然災害に対する意識が高い宮崎県民にとっては、平屋の耐風性のよさや耐震性を高めやすい構造も大きな魅力であるに違いありません。
「広い土地が必要」という難点に対しても、宮崎県は他県と比べて地価が低く、広い土地を安価に購入しやすいということから、平屋を選択しやすい環境が整っているといえるでしょう。

宮崎住宅建設工業にも、平屋を建てたいと相談に来られるお客さまがとても多くいらっしゃいます。平屋を憧れで終わらせたくない方、宮崎県内で平屋の家を新築したいとお考えの方は、ぜひ宮崎住宅建設工業にご相談ください。